【オリコカード】業績下方修正

http://www.orico.co.jp/company/investor/ir_news.html
オリエントコーポレーション(オリコカード)が、約5000億円もの業績の下方修正を発表しました。

利息制限法の影響として報道されている向きもありますが、実際は、以下の内訳のようです。
1 繰延税金資産の取崩し ▲ 1,003億円
  (取崩し後の繰延税金資産計上額 164億円)
2 利息返還損失引当金の積み増し ▲ 1,488億円
  (積み増し後の利息返還損失引当金 1,749億円)
3 貸倒引当金の積み増し ▲ 1,624億円
  (積み増し後の貸倒引当金 3,235億円)
4 リストラ関連費用等   ▲ 623億円

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     合計▲ 4,738億円

記事によっては、グレーゾーン金利の廃止により、消費者金融各社の減収が確実、さらに上限金利超過分の返還もあり、大手銀行との提携が進むものと見られている。
と、しているものもあり、オリコの作成の資料をみると、「1 繰延税金資産の取崩し ▲ 1,003億円」も、上限金利引下げに対応した新与信モデルへの移行によって年間約300億円収益が減少する見込みになり、収益が上がらないため、繰り延べ税金資産を取り崩すとしているものの、そもそも、繰り延べ税金資産を計上した理由が、不動産融資に伴う不良債権処理で、グレーゾーン金利の撤廃とは別の話です。

オリコの幹部は今回の巨額損失を「不良債権処理に追われた負の遺産が資本の脆弱さとして残っていたため」とコメントしているということですが、不良債権処理の「3 貸倒引当金の積み増し」やリストラ関連の処理を行う必要から、ついでに、「2 利息返還損失引当金の積み増し ▲ 1,488億円」を最大限引当をして、V字回復を狙っているとうのが実体ではないでしょうか

以前、税理士・公認会計士の磯崎氏のブログに以下の記載がありましたが、オリコの場合は、年間の営業収益(約3300億円)の50%以上の利息返還損失引当金を計上していることになります。
年間200億円程度の返還を見込んでいるということですので、約8年分ということです。

「グレーゾーン(=原則無効)」であっても収益に計上していた部分について、任意弁済の基準が厳しくなったから引当金計上、ということでありましょうが・・・さて、ここで一つ疑問が。
この場合の引当金の計上額算定の方針として正しいものは、次のうちどちらでしょうか。
(1) 法的に返還義務があると認められるグレーゾーン金利の額全額について引当金を計上する。
(2) 法的に返還義務があると認められるグレーゾーン金利の額のうち、実際に返還することになる可能性が高いと合理的に見積もられる金額のみを引当金に計上する。

http://www.tez.com/blog/archives/000779.html